昨日の予報ほどではありませんが粉雪が舞う寒い日曜日となりました。
今、午後2時30分の気温は2.5℃。
どこへ行っても、ふと目に付き惹かれる木があるとすぐに立ち止まる癖がありあります。昨日の帰り道に撮った丸山公園(正面左手)にあるシダレヤナギの雪解け後の姿からご覧いただきます。
ここは足繁く通うところで、よく見るとまた痛みの激しいところが目立ってきました。
痛みが激しいというと、自宅庭先のサクランボの古木がこのところキツツキに痛めつけられています。
ぐるりと一周見て回ると、穴の中から何かが出てきそうな気になります。
古来より木に対する信仰の深い日本人にとって「木」はかけがえのない大切な存在でした。
美瑛町には二股神社内(二股共栄)のミズナラの木に彫り込まれた「立木観音(文化財)」と呼ばれる観音様があります。(現在では損傷が著しく姿も判然としない。)
この年になると周りの木々を見る目がガラリと変わっている自分が存在し、そしてごく自然に日本の栄枯盛衰を見守ってきた巨樹巨木に足が向くようになってきました。
町の外れには「森の神様」と呼ばれるカツラの巨木(森の巨人たち100選 / 推定樹齢:900年)があります。
10年ほど前に初めて訪れた時のその圧倒的な存在感。
眼前の視野いっぱいに迫ってくるその姿は、コンパクトカメラで撮影しようとしても全く収まらなかったのが印象的で未だに鮮明な記憶として残っています。
それ以来何度となく訪れるのですが、普段は写真も撮らずに木の周りをただぐるぐると歩くだけ。かなり痛々しいところも神様の体には多く見受けられますが、以来10年が過ぎても堂々たる姿には未だ変わりはありません。
巨木はいざ写真に撮ろうとすると、そのあまりの大きさと枝振りなどでどこから撮って良いものやら素人ながら迷うものです。
撮影するといってもフォトコンテストなどには全く興味のない私ですので、記録として残すだけの写真が撮れればよく、パノラマ写真での保存方法は横着な私には相性的にもまさにピッタリでした。たしかに写真を繋ぎ合わせる手間こそありますが、その時代の一断面だけではなく、周りの空気まで伝わってくるようで今も続けています。
わが家の庭先にも樹齢50年を迎える木々が何本かありますが、このところのキツツキの出没回数には思わず「突くのを止めてくれ!」と言いたくなります。
木々の一本一本に観音様が御座すようで。
運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まつて、しきりに下馬評をやつてゐた。
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「能くあゝ無造作に鑿(のみ)を使って、思ふ様な眉や鼻が出来るものだな」と自分はあんまり感心したから独言の様に言つた。
するとさつきの若い男が、 「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんぢやない。あの通りの眉は鼻が木の中に埋まつてゐるのを、鑿と槌の力で掘り出す迄だ。丸で土の中から石を掘り出す様なものだから決して間違ふ筈はない」と云つた。
自分は此の時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。果たしてそうなら誰にでも出来る事だと思い出した。それで急に自分も仁王が彫つてみたくなつたから見物をやめて早速家へ帰つた。
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※ 第六夜 [夢十夜より 夏目漱石]
※ 森の神様 その他美瑛町の(有)名木の一部をパノラマ写真にまとめておきました。
バックに丘の風景を伴わないと相手にもされず、観光マップにも載ることのない丸山公園のシダレヤナギですが、美瑛にお越しの際はぜひご覧になってください。
有名で無くとも名木の一本です。
美瑛町の(有)名木 フルスクリーンパノラマ
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14:30 気温/2.5℃ (.all images:biei.info)