ゴールデンウイーク(GW)の開業に向けて準備が進められている深山峠の観覧車。
今日も用事で上富良野町に出かけましたが、国道237号沿いからは完成間近と思われる姿を見ることができました。
思えば昨年12月09日にTVの道内ニュース番組や北海道新聞で取り上げられるまでは、地域住民を除けばほとんど知る人もなく建設計画は進められていたのです。
内容は深山峠で「トリックアート美術館」を運営する地元企業「アラタビル」が施設敷地内に、直径47m、高さ50m、4人乗り/30台のゴンドラを取り付けた観覧車(北海道・サンタプレゼントランドから移設)を建設するというものでした。
TV放映される前から計画を知った一部住民の間では「上富良野町深山峠観覧車建設に反対する会」が結成され、インターネットでも反対署名を呼び掛けました。
が、結論は建設位置などが一部変更されたものの計画が撤回されることはなく、GWオープンに向け作業は進行。
この問題は一面で田舎での現状の有様を如実に表している典型でもあります。
まずは新旧住民の大きな意識のズレ。
われわれも移住して14年目を迎えていますが、外部から移住してきた新町民(少数派のよそ者:今回も計画に積極的に反対をしているのは新町民)と、何事にも関心が薄く事を荒立てることを嫌う昔ながらの多くの町民との意識(温度差)の違いがあります。
この意識のズレはあらゆる事象で顔を出し、今回のような景観や環境保全の問題はもとより、身近な交通安全(運転マナー、飲酒運転、その他)や喫煙問題に対する意識など、日常生活全般に姿を現す。
そしてその差が歩み寄るには格段に大きいのです。
次に観覧車建設に於ける法的手続きに関する問題は。
今回の件では道の景観条例もまだ規制前で建築基準など法的な不備は何もなかった。
美瑛町にも「美瑛の美しい景観を守り育てる条例」が平成15年7月から施行されています。果たして本当に機能しているかは?の面も多くあります。
そもそも「美瑛の美しい景観を守り育てる」という文言のとらえ方ですら、上記のごとく住民間での歴然とした温度差が存在するのです。又、それぞれの町の条例には、細かな制限や罰則などはありません。
話はそれますが、
法的な手続き上の不備が無ければ月に何百万円の保護費を支払っていても不自然とも思わない役所の体質に唖然とさせられたのが、昨年の滝川市における生活保護費詐欺事件。
この事件では、もちろん騙す方が悪いに決まっています。
当初提出書類に不備は無く、これまでとってきた市の対応には何らの落ち度も無く、市側の責任は全く無いと突っぱねていましたが、一部市民や国から見抜けなかった行政・市の責任も厳しく問われ続け全職員で返済することとなった、あまりにもお粗末きわまりない事件でした。
しかし旧態依然とした市町村のこれに似た体質が、いまだに北海道の至る所ではびこっているのは間違いのない事実でしょう。
病巣を摘出しなければならない多くの問題が。
私もよく丘の風景を撮りに出歩きますが、この観覧車建設の是非については私個人としてはもちろん「反対」です。
ただそれ以上に現実問題として深刻な自然を脅かす問題やマナーの悪さなどが道内には山積しているにもかかわらず、観覧車のような大きな形で見えるものしか反対の声が盛り上がらないのは悲しいことです。
道内を見渡すと間違いなく環境保全より自然破壊のスピードが加速しています。このような観覧車なら解体も可能ですが、自然破壊を元通りに再生するには半世紀以上の長い年月がかかるのです。
はたして子供や孫の代まで「北海道の自然は一流」と誇れる時が続くかどうかは甚だ疑問と言わざるを得ないでしょう。
何事も予防に力をいれず、滝川市事件のように「起こって」から大騒ぎをするのが道内の現状です。
50m近い上空から大自然を堪能できることで観光客の方々からの支持も得られるかもしれませが、一絡げで出来上がってから「観光シーズンに訪れる観光客の皆さんの評価はいかに!」で締めくくるにはあまりにもお粗末。
ところが一番迷惑を被るであろう観覧車近くの町民の方々の声や動き(例えば、観覧車から覗き見をされるようで ・・・ など)はどうだったのか?が今ひとつ伝わってきません。
観覧車にともなう反対運動は道内でも過去「函館市」や「小樽市」などでもあり、函館市に関しては歴史のある古い街並みに大観覧車など似合わないなどで結局は実現しなかったが、小樽市は皆さんご存じのように設置(ウィングベイ小樽レインボークルーザー)されています。
何ごとに於いても「賛成 / 反対」はつきもの。
国内では誘致運動の盛んなところもあり、観覧車が景観を壊す邪魔者か、それとも活気を取り戻す救世主として町のシンボルになり得るかは難しいところです。
今後の課題として、ただの利害関係だけで独りでに動くことだけはないように。
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