アイヌ文化の森 【伝承のコタン】

嵐山公園にある「アイヌ文化の森 伝承のコタン」:
こちらも北邦野草園に隣接しています。

京都に住んでいたときには、アイヌと言えば「アイヌ木彫熊」を知っている程度で関連の本を読むこともなく、身近な存在ではありませんでした。

しかし関西から移り住んで以来、
北海道に住む以上、また余所者の我々が北海道を語るときにもアイヌの問題を抜きには語れないとの思いから、伝承のコタンはもとより旭川市博物館川村カ子トアイヌ記念館などへは時間の合間によく訪れます。

その点美瑛という土地柄は、旭川の隣でもあり情報には恵まれていました。
何よりも上記アイヌ文化関連施設はもとより、地元の方々の活動や研究が盛んなのです。
中でも旭川中央図書館で見た旭川竜谷高校・郷土部の皆さんの研究報告書。
素晴らしい内容には感心せざるを得ません。

移り住んだ者として、その地域のルーツを知ることは大切なことではないでしょうか。

前置きが長くなりました。
ここ伝承のコタンの建物は、その昔アイヌの人々が生活していた住居(チセ:笹ぶき住居)、食料庫(プー pu)、祭壇(ヌササン nusasan)などを、言い伝え等に基づいて復元したものです。

今回はチセの中に説明員の方がたまたまおられ、住居などの屋根、壁は笹葺きで、夏の暑さ・冬の寒さから身を守るのはもちろんのこと、動物などに襲われても安全なように、使用する笹は一冬越したものを採取するなど、慎重に吟味されたそうです。

また、この笹葺き作業は、女性が主役で、男性は笹の運び役を担っていたそうで、屋根葺き作業に精を出したのはアイヌ女性。
そしてここにあるチセもすでに50年の風雪に耐えているとのこと。

しかしさすがに少しずつ傾きの出始めているところもあり、今は良質の材料が入手困難であったりと、壊れた場合はこれを最後に笹ぶき住居の新たなる復元は難しいとの話もされていました。

チセの周りには、鮮やかな黄色の花をつけた エゾノリュウキンカ[蝦夷立金花]
(別名:ヤチブキ/谷地蕗)が今を盛りに咲いていました。


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アイヌ文化の森 伝承のコタン

かつて北海道はアイヌの人々の天地でした。
ともすれば我々は表面的な、北海道の厳しい風土につちかわれてきたアイヌ民族文化や神々を尊び、その敬けんな祈りから生み出された豊かな芸術性ばかりに目が行きがちですが。


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エゾノリュウキンカとチセ(笹ぶき住居)

原点の、かつて北海道はアイヌの人々の所有であったことを忘れてはなりません。

どのような経緯で現在のようにほぼすべてが和人の土地となってしまったのか?
アイヌ問題の中でも特に突出している、明治から昭和にかけて争われた旭川の近文アイヌ地問題。誰もが、真実の行方を知りたいと思うのはごく自然なことです。

歴史の真実を巡っては、今なお紛糾している問題が全国にも多くあります。
小学校から当たり前のように教えられてきた歴史ですが。その真の歴史認識の困難さが至る所で顔を出しています。

いまやすべての価値を金額に換算して、便利さ=幸福であると疑わなくなった我々に、
真実を見抜く目などあるのだろうか。

→ 伝承のコタン QTVR映像
→ チセ:笹ぶき住居 QTVR映像
→ 伝承のコタン QTVR映像

 
【チセ】(chise)= 家
一民族における建築様式は、その風土環境によって手に入りやすい材料を使用する。
そのため屋根の材料の違いによって家の呼び方が違う。
※ ウラス チセ    笹小屋  (上川、十勝地方)
※ ムン  チセ    萱葺小屋 (胆振、日高地方)
※ タツト  チセ    樺皮小屋 (根室) 
 
(旭川竜谷高等学校郷土部 近文地方における住居より) アイヌ語

クーチンコロ顕彰碑

明治の始め、石狩役所まで行って兵部省の謀略を打ち砕いて上川アイヌの危機を救ったアイヌの英雄クーチンコロ

 
明治2年、蝦夷地を北海道としアイヌの人々を「平民」として戸籍を作成し国家に編入する一方で「旧土人」と呼び差別。
開拓使を置きアイヌ民族の言語や生活習慣を禁じ和風化を強制する政策を取り始めた頃、兵部省石狩役所は「上川アイヌ全員は石狩浜に集団移住せよ」と一方的に通告しました。
自然と共に平和に暮らしていた上川アイヌの重鎮クーチンコロは同年12月3名の供を連れ雪を踏み分け石狩に出向き談判した結果、石狩浜集団強制移住は撤回となったのでした。
 
この碑はアイヌ人の誇りを持って生きたクーチンコロを讃え建てられました。
(昭和49年12月建立)

松浦武四郎ら多くの探検家たちも、クーチンコロに導かれてこそ奥地踏査が可能となりました。

→ クーチンコロ顕彰碑 QTVR映像

近文山、嵐山の一帯を上川アイヌの人たちは「チ・ノミ・シリ」ci-nomi-sir(我ら・祈る・山)と呼び、聖なる地として大切に守られてきました。
ここ伝承のコタンは、その地に作られた旭川市博物館の分館です。
コタン(アイヌ語で集落)

【アイヌ文化の森 伝承のコタン:嵐山公園内】
◎所在 〒071-1249 上川郡鷹栖町字近文9線西4号
◎施設の構成 ・展示、管理棟、チセ(笹葺住居)3棟、食料庫(プー) 他
◎見学  [開館・公開日時]9:00~16:30、
[休館日]毎月第2、第4月曜日、設備点検日、年末年始(12月30日~1月4日)
◎交 通 車利用→JR旭川駅から北西に約7km。河川沿いに無料駐車場有り。
バス利用→あさでん33番(1条8丁目のりば)から北邦野草園で下車(徒歩約15分)
◎入園料 無 料
◎連絡先 電話0166-55-1541


晴れ時々曇り11:50 気温/20℃ (.all images:biei.info)

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